今回は、平安の昔より、瀬戸内の重要な港湾都市、また商人による商業都市として栄えてきた尾道について書く。この町は川のように見える尾道水道に面した良港で西廻回船の主要港としての海運と、西国街道（山陽道）並びに石見銀山、出雲に通じる出雲街道とが交差する陸運の両方が接する流通の一大拠点なのであった。そのため商業も盛んで商人の町としても栄えてきた。

地形的には、海に山が迫っていて細長く発展している。海沿いの港湾地区。西国街道に沿った商業地区。そして山沿いの仏閣地区と別れていて、特に山懐の住宅地区には階段や坂道が発達している。その階段を上っていくと尾道ならではの美しい港町の風景が広がっていく。

またその坂の途中は、戦中、空襲にもあっていなく昔ながらの日本家屋や洋館が美しく残っている。

近年は空き家が目立っていたが、これらの住宅の再利用も進み、宿泊施設や、商業施設として利用されだしている。

一方、街の中心は細長く続く、昭和風のレトロな商店街が、東西に貫いている。いったんはシャッター通りになりかけていた商店街であるが、やはり、新しい息吹が感じられる。新しいビジネスが立ち上がり、人気が出てきている。例えば、もともとこの辺りはジーンズの材料であるデニムの有力な産地であるため立ち上げられたOnomichi Denim Projectなんかが、よい例であろう。地元のデニムを使い、尾道の人に一年間はいていただき、味が出たジーンズを販売するというユニークショップだ。値札には、どんな職業の人がはいていたかを書いてあったりして、実に面白い。

他にも、古い銭湯を改造したカフェとライフスタイルショップやお好み焼き屋なのに美味い刺身とおでんを出す店など超個性揃いだ。

朝とれた魚を煮魚、焼き魚、刺身定食として出す食堂や地元の料理雑魚丼を出す店があったり、一日楽しく歩ける商店街だ。

新幹線で行ける便利な立地でもあるので、是非一度訪ねてください。次回は、尾道の個性派ぞろいの宿泊施設を紹介することとする。